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成熟

経営者の高齢化、業界先行き不安、薬剤師不足、大手調剤・ドラッグストアのM&A攻勢などを背景に、調剤薬局のM&Aは増加の一途を辿ってきました。
本項では、薬局業界の最新データを基に、様々な角度から調剤薬局の業界環境を考察しました。
業界成熟期を迎え、どの様にM&Aを考える必要があるでしょうか。

成熟

医薬分業伸び率の成長ペースが鈍化

医薬分業率及び処方箋枚数推移

厚生労働省の統計データを参考にし、当社作成。

2000年代に入り、医薬分業の伸び率鈍化が鮮明になってきました。

しかしながら、2023年度の医薬分業率(全国平均)は過去最高の80.3%に達し、医薬分業元年とされる1974年から約50年を経て、初めて80%の大台に乗ったことが明らかになりました。

各都道府県によって進捗にばらつきがあるものの、かつて分業率の上限と見られていた70%を全国平均で大きく上回り、特に青森県、秋田県、新潟県の3県では90%を超える高い水準にあります。

このように高い水準に達した分業率の伸びしろには限界が見え始めており、これは同時に、新たな薬局開局の余地がますます少なくなっていることを示唆しています。その結果、処方箋枚数そのものの伸びも鈍化していくことを意味しています。

報酬改定・薬価改定・消費増税といった外部環境の変化は、薬局経営を減収減益の方向へと向かわせる最も強い圧力となっています。

このような状況下で、これらの収益減少を処方箋枚数の増加のみで補おうとすることは、経営判断として極めて難しい時代になったと言えるでしょう。

新規出店推移
※各社決算報告資料等より抜粋。一部当社推計。
※詳細の把握が難しい企業については除外。

既述の通り、医薬分業率の成長鈍化は、すなわち新規出店機会の減少を意味します。

大手調剤チェーンによる新規出店のペースは、2013年をピークに減少傾向が続いてきました。2021年度には、総合病院の敷地内薬局の出店増加により一時的な回復が見られましたが、全体としては依然として新規出店は低調な状況です。これに対し、M&Aの件数は2016年頃まで年々増加を続け、業界再編の主要な手段となってきました。

しかし、大きなターニングポイントとなった2018年度診療報酬改定で大手チェーンの調剤基本料が引き下げられた影響などから、一時的にM&A市場は様子見ムードとなり鈍化しました。その後、一旦は持ち直す動きも見られましたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で多くの企業が積極的なM&Aを控える傾向が顕著となり、その後の成立件数もやや低調に推移しています。

またM&A以前に、医師の高齢化や後継者不在による処方元医療機関の閉院が、薬局経営に深刻な影響を及ぼし、いわゆる「共倒れ」の形で廃業や倒産に至るケースも散見されます。

このような状況下においても、薬局が成長力を維持し、変化する医療環境に適応していくためには、M&Aによる規模拡大や機能強化は引き続き不可欠な戦略と言えるでしょう。

実際に、大手チェーンのみならず、中小規模の薬局事業者、ドラッグストアチェーン、さらには異業種までもが薬局M&Aに積極的な姿勢を示しており、今後、薬局M&Aのニーズは再び高まり、件数も増加に転じることが予測されます。

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