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薬局業界を取り巻くリスク

数年前までの調剤薬局M&A環境は、他に類を見ないほどの売り手市場でした。しかし、過去あらゆる業界において永続的な売り手市場はありません。国策としての一貫した医療費削減の流れで、診療報酬の引き下げや薬価改定による薬価差益縮小に加え、更なる消費増税に伴い、今後も業界環境の大きな変化が予想されます。いよいよ、成長期から成熟期へと移り変わっていく時代となりました。 上場企業にとってはその様な成熟市場の中でも株主に対し成長力を示す必要があり、毎年売上や利益の増加で応えていかなければなりません。 医薬分業率が7割を超えた今、新規出店の機会は激減しており、規模拡大を目指すためには新たな店舗を作るよりも、医療機関や地元住民と信頼関係を築いている既存の薬局を買収(M&A)する方が効率的と大手・中堅チェーンは考えており、これまで同様、M&Aは活発に行われていく見込みです。

また、それと並行して周辺業界との提携による新たなビジネス展開の模索や、異業種からの新規参入など、調剤薬局業界全体の変革も進んできています。そのような成熟市場の中で、自らの薬局はどのような舵取りをするべきなのか。医療費削減のシワ寄せである 収益の激減をどう乗り越えていくべきなのか。規模の拡大か、現状維持か、それとも大手と提携するべきなのか、様々な選択肢の中から、自社の経営資源を踏まえた戦略が必要になってきています。

薬局業界の環境分析

  1. 傾向01

    医薬分業率の限界に伴う市場の成熟

    医薬分業率の限界は70%と言われてきましたが、直近の分業率はその前提を超える約75%に達しています。恐らく、これ以上の分業の急拡大は難しく、増加を続けてきた薬局店舗数も減少傾向となる成熟期を迎えたと言えるのではないでしょうか。そのような成熟期を迎えた調剤薬局業界の中で、今後も規模拡大を目指す大手企業による薬局買収は増加し、全体の7割以上を占める中小薬局を集約していく動きがさらに加速していくと考えられています。しかし、薬局M&Aのマーケット的には転換期に位置し、医療費削減による利益率の継続的な下落により、これまでの「売り手市場」から「買い手市場」へ、今まさに移行し始めています。

  2. 傾向02

    医療費削減などによる収益減

    調剤報酬の減額、薬価差益の縮小などの医療費削減や、消費増税、後発品(ジェネリック)による在庫圧迫などの要因で、今後、調剤薬局は、益々収益減が加速し、経営環境が厳しくなることが予想されています。

  3. 傾向03

    異業種参入による競争激化

    大手調剤薬局チェーンの出店・M&Aに加え、医薬品卸やドラッグストアなどの隣接業種が調剤事業を強化する他、商社やスーパー、投資ファンドなど異業種からの参入により調剤薬局業界は、再編・淘汰の時代に突入しております。

  4. 傾向04

    団塊世代オーナーの引退、後継者難

    医薬分業が進んだ1990年代に開局した薬局オーナーも60代、70代となる中、子息不在や業界の将来不安から、相応しい後継者を見つけられない、又は継がせる気がない薬局オーナーが増えているのが現状です。 経営者として、自社の成長を追い求め続けることも重要ですが、業界が下向きな状況下であれば、様々な選択肢を準備しておくことが、会社・従業員・そして家族を守ることにつながります。 その有効な選択肢の一つこそが、M&A(第三者への承継)ではないでしょうか。

経営者として、自社の強みと追い風となる機会を生かすことも重要ですが、業界再編にさらされた状況下であれば、脅威と自社の弱みが重なったときに備え、様々な選択肢を準備しておくことが、会社・従業員・そして家族を守ることにつながります。 その有効な一つの選択肢こそが、M&A(第三者への承継)です。

調剤薬局業界における5つの競争要因(脅威)

1997年に政府は薬局の必要数を24,000軒としましたが、現在の薬局数は約60,000軒と大幅に目標数を上回っている状況です。現在、調剤専業チェーンに加え、ドラッグストアや医薬品卸も大手の一角として拡大を続けていますが、近年の動向として大手調剤チェーンと異業種企業が提携する例が増えており、コンビニや家電量販店の調剤薬局併設型に加え、電鉄と提携した駅ナカや駅チカへの展開も見られるようになってきました。大手調剤チェーンのみならず、異業種の積極的な市場参加により、再編の動きはさらに活発化すると思われます。
また、大手ドラッグストアチェーンの調剤シフトが本格化しており、急激に調剤売上を伸ばしています。カードのポイント効果や利便性、コロナ禍による顧客の購買動向の変化などによって、調剤薬局からドラッグストアへと処方箋の流れが変化しているのは間違いありません。さらに今後、リフィル処方箋の普及次第では、さらなる流出も十分に考えられます。
今後の調剤薬局では、ただ薬を渡すだけに留まらず、地域医療を担う様々な機能をこれまで以上に求められ、またそれに応えられなければ淘汰される時代となっていくと思われます。

中小調剤薬局のクロスSWOT分析

クロスSWOT分析とは、強み・弱みの内部環境と機会・脅威の外部環境をクロスさせ、様々な戦略オプションを検討する手法です。
調剤薬局業界における内部環境と外部環境の分析で、自社の経営戦略と具体的な戦術を立案して行かなければなりません。自社の「強み」「弱み」、業界の「機会」「脅威」の4つの要素をクロスさせて戦略の方向性を定めていきます。

※下記の表は左右にスクロールしてご覧ください。

  内部環境

強みStrength

  • 地域密着
  • ドクターとの強固なつながり
  • 地元の情報力/卸の情報
  • フットワーク/柔軟性
  • 債権の安全性

弱みWeakness

  • 資本力
  • 薬剤師の手配
  • 仕入れの交渉力
  • マンパワー
  • 処方元との主従関係
  • 教育システム
  • 廃棄ロス/効率化
外部環境

機会Opportunity

  • 高齢化社会
  • 在宅介護の推奨
  • 後発品の推奨(脅威でもあり)
  • バブル的なM&A市況

A積極的戦略

自社の強みと外部環境の機会を追い風に、どのような戦略で打って出るのか?

B弱点克服

自社の弱みを改善して事業機会の波に乗れるか?
機会損失にならないための戦略とは?

脅威Threat

  • 慢性的な薬剤師不足
  • 消費増税
  • 調剤報酬削減
  • 加算廃止等の政策誘導
  • ドクターの後継者問題
  • 大手調剤の面受け展開
  • リフィル化
  • 業界再編の加速
  • 異業種参入/競合出店
  • 総人口の減少
  • スイッチOTC
  • M&Aバブルの終焉

C差別化戦略

自社の脅威を、自社特有の強みでどのようにカバーしていくか?
他社との差別化(独自化)を図れるか?

D防衛策・撤退

自社の防衛策は?
撤退・M&Aも重要な選択肢のひとつ。

表中のA~Dの戦略、御社はどのような具体策が考えられるでしょうか?
上の表の通り、調剤薬局業界では「脅威」「弱み」が「機会」「強み」に比べて数多く挙げられます。このことは、同業界が非常に厳しい環境にあるということ を示唆しております。この様な逆風の中で、有効な成長戦略を見出していかなければなりませんが、個々の企業によって置かれた状況と取るべき戦略は千差万別です。
私共の得意分野であるM&Aは、一つの選択肢にはなりますが、もちろん全ての企業にお薦めするべき方向性ではありません。お会いした際、私共が考える具体策をご説明させて頂くと共に、M&Aに囚われない経営戦略のプランニングをご相談出来ればと思います。

MACアドバイザリーは、
皆様の良き相談相手になりたいと考えています。

秘密厳守いたします。お気軽にご相談ください。最新の調剤薬局動向・薬局M&A相場などわかり易くご説明させていただきます。

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